WATCH COMPANY~時計修理技術者コラム~

時計修理専門店WATCH COMPANYの公式ブログです。

時計修理技術者コラムVol.33 新品仕上げ~ロレックス ラグヘアライン仕上げ編~

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ロレックスのヘアライン

ヘアライン仕上げについては以前も時計修理技術者コラムVol.22 新品仕上げについて~ヘアライン仕上げ編~にて紹介しましたが、今回は旧型のデイトジャスト(16200系統)やロレックスのスポーツモデルの一部に採用されているラグのヘアライン仕上げについて紹介いたします。

ラグのヘアラインについて

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ロレックス デイデイト 18238
仕上げを行う前のラグです。使用によるヘアラインのかすれや、打痕があります。以前の仕上げで本来のヘアライン仕上げよりも平行につけられている状態です。

 

 

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ロレックス デイデイト 18238
丁寧な仕上げによって、傷やへこみが消え、本来のメリハリあるヘアラインに戻りました。ラグの先まで本来の角度でヘアラインが入っています

 

傷が目立ち始めたら……。

 

何度も研磨を繰り返すうちにケースの形状が崩れ、修復できなくなってしまうことがあります。WATCH COMPANYでは、外装研磨の工程を通常より多くとる工夫により、本来の形を保ったまま研磨を行うことができます。
定期メンテナンスの際は、ぜひ新品仕上げもセットでご依頼ください!

ブログ 時計修理技術者コラムVol.32 クロノグラフのセンターセコンドの針飛び~Cal.ETA7750編~

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クロノグラフの針飛びとは?

クロノグラフ(ストップウォッチ機能)を搭載しているモデルで起こる不具合として「センターセコンドの針飛び」があります。針飛びとは、クロノグラフのスタートボタンを押しても針がスムーズに動作せずに、一度に大きく動く、不規則な動きをする現象を指します。
今回はETA社のCal.7750を例に取って、センターセコンドの針飛びについてご紹介いたします。

針飛びの原因

センターセコンドの針飛びの症状は、針を抑えている部品(フリクションスプリング)の経年による変形が原因です。

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Cal.ETA7750/フリクションスプリング拡大図

 

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Cal.ETA7750/全体
フリクションスプリングはムーブメント中心に取り付けられています。

 

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フリクションスプリングの上にはクロノセンター車(センターセコンドが取り付けられる歯車)が取り付けられ、クロノセンター車に適切なテンションをかけることでクロノグラフが正常に作動します。

 

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フリクションスプリングは薄い板状のバネになっています。長期間に渡り使用されたフリクションスプリングは変形し、クロノセンター車に対して十分なテンションをかけることができず、針が飛んでしまう症状が起こります。

 

針飛びの修正

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針飛びが起こった際は、前出のフリクションスプリングのバネ部分を調整し、クロノセンター車に適切なテンションがかかるように調整を行います。この際にテンションを強くし過ぎると、時計全体の抵抗が大きくなってしまい、動作に不具合が出るため、非常に繊細な作業になります。

 

クロノグラフの不具合が起こったら……

センターセコンドの動きに異常を感じたら、今回説明したフリクションスプリング以外にも不具合がある可能性があります。ぜひ無料の見積りをお試しください!

 

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POWER Watch 2017年9月号(No.95)に当店が紹介されます!

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7月30日に発売されるPOWER Watch2017年9月号(No.95)の【全国時計修理優良店ガイド】の特集に当店が紹介されます!

時計の仕組みを紹介している連載の【腕時計の教科書】では、クロノグラフ機構について紹介されています。当店のブログでもクロノグラフの故障について掲載させていただいております。ぜひご覧ください!
当店のブログはこちらです。時計修理技術者コラムVol.28 クロノグラフ12時間計積算計の不良について~Cal.ETA7750編~
特集はバーゼルワールド2017で発表されたロレックス/シードゥエラーの新旧比較です。赤シード表記で今後注目されること間違いなしのモデルです。是非チェックしてください!

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時計修理技術者コラムVol.31 歯車の不良と摩耗

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摩耗

定期メンテナンスや故障の際に、歯車を交換する理由として最も多いものは、歯車のほぞ(歯車の中心軸、幹の部分)の摩耗によるものです。 状態によって摩耗の程度の差はありますが、油切れ状態で長期間使用が続くと、歯車のほぞと、ほぞが入る穴(ほぞ穴)の接触部分の摩擦が大きくなり、歯車のほぞが削れてしまいます。 また、部品が削れた際に発生する金属粉がムーブメント全体に広がり、多くの部品に損傷を与えることがあります。

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Cal.ETA2892/3番車
歯車のほぞが少し摩耗している状態です。この程度の摩耗であれば時計は動作するため、通常使用では気づくことはできません。ほぞを磨いて修正することで部品の再利用が可能です。

 

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Cal.ETA2892/3番車
ほぞが大きく摩耗している状態です。この段階になると、歯車の回転にがたつきが起こり、時計の精度不良や、頻繁に止まる原因となります。部品の交換が必要な状態です。

 

変形、破損

落下や着用中にぶつけてしまうなど、外部からの衝撃により、歯車のほぞが折れる、曲がるなどの不具合が起こることがあります。 ほぞが折れた場合、時計は不動になるため、すぐに不具合に気が付くことができます。 しかし、ほぞの曲りが起こった場合は、時計はそのまま動作することもあります。また、部品の交換を必要とせず、修正によって改善するできる場合もあります。 ただし、針が取り付けられる4番車や、クロノグラフ車などは、歯車が固定される部分から、針が取り付けられる先端までのほぞが長いため、衝撃などにより曲がりやすく、曲がってしまうと、針が傾いてしまうことがあります。 針が傾いた状態で回転をすると、文字盤に針が擦れて、文字盤を傷つけてしまう恐れがあります。f:id:watchfan1999:20170718164553j:plain

Cal.ETA7750/クロノグラフ

 

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Cal.ETA7750/クロノグラフ
クロノグラフ車のほぞが折れています。歯車をほぞ(軸)で支えて固定することができないため、不動になります。

 

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Cal.ETA7750/クロノグラフ
ほぞの先端が曲がっています。この状態で先端に針を取り付けると、他の針や文字盤に擦れてしまい、傷がつく原因になります。

  

歯車のかけ

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 Cal.ETA6497/香箱
特殊なケースとして、ゼンマイ切れの際に、切れたゼンマイの力が一気に解放され、ゼンマイを収める部品(香箱)の歯が曲がる、かけるなどの不具合が起こることがあります。 また、ゼンマイの動力を伝達する輪列(2番車、3番車)にまで衝撃が伝わると、歯車が破損してしまうこともあります。

 

メンテナンスは部品の摩耗が進んでしまう前に!

歯車一つをとっても、様々な不具合が起こります。 定期的なメンテナンスをしていただくと、常にムーブメントの状態が良好になり、お時計を永くご愛用いただくことができます!

 

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時計修理技術者コラムVol.30 リューズの操作不良、カレンダー不良について~ロレックスCal.2135編~

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ロレックス/レディース時計のムーブメント その2

ロレックスのレディース時計に使用されているムーブメントに関して、前回、時計修理技術者コラムVol.26 リューズの操作不良~ロレックスCal.2235編~にて、Cal.2235について紹介しましたが、今回はCal.2235より以前に搭載されていたCal.2135について紹介いたします。

Cal.2135について

Cal.2135はレディースのデイトジャスト69174、69173系統のモデルに搭載されているムーブメントです。1980年代初めから、1998年ごろまで製造されました。

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Cal.2135カレンダー早送り車初期(前者)、後期(後者)
Cal.2135は製造された初期と後期では、カレンダーを操作する内部部品が変更されています。 初期型の場合は、日付を早送りするときに順方向と逆方向、両回転することができました。 後期型の場合は順方向のみ進ませることが可能です。

 

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Cal.2135カレンダー送り車初期(前者)、後期(後者)
カレンダー送り車も改良されて、誤操作による部品の破損が少なくなりました。

Cal.2135によく起こる不具合

Cal.2135によく起こる不具合は、

 

1.リューズ操作がしづらい、またはできない

2.日付がダイヤルの窓枠内で半目になる

 

この2つの不具合の原因は、部品の破損や摩耗によるものです。

 
1.リューズ操作がしづらい、またはできない

リューズ操作に関しては、ゼンマイの巻き上げや、時刻合わせをするときに使われるツヅミ車の歯先が削れてしまったことが原因です。

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新品のツヅミ車です。

 

f:id:watchfan1999:20170704164955j:plain歯先が削れてしまったツヅミ車です。

 

2.日付がダイヤルの窓枠内で半目になる

日付が半目になってしまう原因はカレンダーを送るカレンダー車の歯がかけてしまったことによるものが多いです。

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カレンダー車の歯先です。

 

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カレンダー車の歯先がかけてしまっています。

 

時計のトラブルに遭わないために

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上記のような部品状態になってしまった際は、部品の交換とオーバーホールで症状は改善することができます。しかし、ロレックスの部品は他ブランドに比べ、高額になります。また、破損した部品の破片が機械内部に混入することで他の部品にも悪影響を与えてしまうことがあります。 それを避けるために大切なことは

 

「カレンダー早送り禁止時間帯」にカレンダー操作を行わないことが最も大切です。

 

カレンダー早送り禁止時間帯はカレンダーが切り替わる前後3時間ほどを指しています。この時間帯は、カレンダーを送るために関連部品の歯車同士が噛み合っている状態になるため、その状態で無理にカレンダーの早送りを行ってしまうと該当部品が破損してしまいます。 そのため、当店ではカレンダーを早送りする場合は時計上の時間をまず6時に合わせてからカレンダーの早送りすることを推奨させていただいております。

 

万が一リューズの操作に不具合を感じたら、ぜひ無料のお見積もり相談をご依頼ください!

 
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時計修理技術者コラムVol.29 時計内部のごみ、水入り

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止まりの原因

時計の機械内部にごみなどが入り込み、止まりの原因となることがありますが、なぜオーバーホールをしてから裏蓋を開けたことが無いのにごみや湿気が入ってしまうのでしょうか?

空気の膨張率

日中空気を入れたはずのボールが、気温が下がった朝方に少し縮んでいることがあります。 これはボール内部の空気が冷やされて体積が小さくなったため起こっている現象です。 時計でも同じ現象が起きています。 強固なケースに守られた時計の場合だと、時計が変形するのではなく、わずかな隙間からごみや湿気を吸い込んでしまう恐れがあります。 ごみや湿気を吸い込んだ状態で腕に付けてしまうと、時計内部の温度が上がり、内部に汚れや湿気を残して膨張した空気だけを吐き出すことになります。 このような吸引作用は時計内部の温度と外気にに差ができるたびに行われています。

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ロレックス/デイトジャスト/116234/オイスターケース
リューズを開放したままの状態、だと外気をそのまま吸い込んでしまう状態となる。また、時計ケースとサファイアクリスタルガラスを固定するクリスタルワッシャー(ガラスパッキン)が潰れてしまうと、そこからごみや湿気が入ってしまう原因となる。

 

 

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オメガ/スピードマスターシューマッハモデル/3510-61
スポーツモデルという頑丈なイメージを持つオメガのスピードマスターだが、実際は3気圧/生活防水程度の機能しか持っていない。アウトドアなどで使用することで、水入りしてしまうケースが非常に多い。リューズやプッシャー(クロノグラフプッシュボタン)からのごみ、湿気入りの他、ベプラスチック風防からの混入も多く見受けられる。ひびが入ってしまった風防は早めの交換をお勧めします。裏蓋に関してはスナッチバック(圧入方式)を採用しているモデルは、固定しているテフロンやプラスチック製パッキンの歪みなどから異物が混入してしまう。

 

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フランクミュラー/カサブランカ/2852
フランクミュラーが展開しているほとんどのモデルがガラスに関しては接着方式を採用しているため、経年劣化によりぼろぼろになってしまうと、内外気温の差によって接着面からの異物混入をしてしまうことになります。定期メンテナンスのタイミングでガラスの接着を再度行うことで、気密性を保つことができます。裏蓋はビス止め式を採用しているため、パッキンが劣化しているとそこから内部に汚れが入ってしまう原因となります。

 

ごみ入りをしてしまうと……

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0.1㎜程度の大きさの歯車が噛み合って動作しているムーブメントは、0.01㎜程度のごみやほこりでも止まりの原因となってしまいます。 ごみや汚れによってお時計が止まってしまう前に是非定期的なメンテナンスを!

 
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時計修理技術者コラムVol.28 クロノグラフ12時間計積算計の不良について~Cal.ETA7750編~

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クロノグラフの動作不良

クロノグラフ(ストップウォッチ機能)の時計は、3針の時計に比べて部品数が多くなっています。部品が多いと不具合が起こる可能性も高くなります。以前、時計修理技術者コラムVol.24 クロノグラフ12時間計の不良について~オメガCal.861編~にて12時間積算計の不具合を紹介しましたが、今回は構造が異なるCal.ETA7750に起こる不具合を紹介いたします。

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ブライトリング/クロノマットエボリューション/A13356
2004年に発表されたETA7750を搭載するモデルです。前身のクロノマット2000のケースサイズが39㎜だったのに対し、43.7㎜という大型なケースを採用していました。イタリア空軍の公式クロノグラフとしてもともと開発されていたため、様々な箇所にパイロットの希望が反映されています。回転ベゼル上には「15」「30」「45」の文字が表示されたライダータブが取り付けられていますが、(残り時間を計測する際など)必要に応じて入れ替えができるようになっています。 2009年にはブライトリング自社ムーブメントキャリバー01を搭載したクロノマット44に受け継がれました。
※クロノマット44は修理の受付対象外モデルとなります。

12時間計の不良原因

Cal.ETA7750の不具合の原因としては、 ①ストップレバー先端部の摩耗、劣化によって12時間計積算車を止められない ②12時間計積算車自体の不良・破損によるもの が挙げられます。

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①ストップレバー先端部の摩耗、劣化
ETA7750の12時間計ストップレバーの素材はプラスチック(樹脂)が使用されています。ストップ時、リセット時に離れていたストップレバーが金属の歯車(12時間計積算車)を規制しています。長期間の使用によって車と当る先端が摩耗すると歯車を規制できなくなります。摩耗による不具合はストップレバーの交換にて対応することができます。

 

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②12時間計積算車自体の不良・破損
12時間計積算車自体の不良とは、真鍮部分の歯車と、ハートカムが付いているホゾ(軸)部分が分離してしまうというものです。歯車が分離してしまった場合は12時間計積算車を交換して対応します。

 

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クロノグラフを作動させていない状態で12時間計が動作してしまう症状の原因は、上記が大半を占めます。症状が出てしまった場合は専門店に修理を出されることをお勧めいたします。

 

  
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