WATCH COMPANY公式ブログ~時計修理技術者コラム~

時計修理専門店WATCH COMPANYの公式ブログです。

時計修理技術者コラムVol.40 クロノグラフの動作~Cal.7750、Cal.861編~

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クロノグラフモデルの構成

クロノグラフ機能を搭載したモデルは、基礎となる部分と、クロノグラフ部分の2種類の機構から構成されています。今回は、スイス時計のクロノグラフモデルに多く使用されているCal.7750と、オメガ/スピードマスター手巻きモデルなどに使用されているCal.861を例に取り紹介いたします。

1.Cal.7750

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(写真前)Cal.7750全体/(写真後)オスシレーティングピニオン(クロノ上下接続カナ)です。
上ホゾ(カナが小さい方)がクラッチレバーのホゾ穴に入り、下ホゾ(カナの大きい方)は4番車に隣接する穴石に入ります。
下ホゾ側の大きなカナは4番車へ噛み、上ホゾの小さなカナはクロノセンター車へ噛み合うことでセンター車を動作させます。
クラッチレバーはクロノグラフのON/OFFによってセンター車へオスシレーティングピニオンを接続させたり離したりします。

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2.Cal.861

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Cal.861はCal.7750とは異なり、4番車から受けより上に伸びているホゾにつく出車になります。
この出車は4番車と同じホゾで稼働しており、隣接するクラッチホイールと常に噛み合っています。Cal.861ではクラッチホイールがクロノグラフのON/OFFによってセンター車へ噛み合ったり、離れたりします。

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シスレーティングピニオンの場合、上下のホゾが摩耗し、動作が悪くなると、ベースムーブメントの動作が正常でも、クロノグラフを組み込む(作動させる)と動作不良を起こす、という症状が起こります。動作に不具合を感じたら無料の見積もりサービスをご利用ください!

 
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POWER Watch 2018年1月号(No.97)に当店が紹介されます!

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11月30日に発売されるPOWER Watch2018年1月号(No.97)の【全国時計修理優良店ガイド】の特集に当店が紹介されています!

2017年にを締めくくる今回は、2017年の売れ筋を振り返る特集になっています。今年の流行が丸わかりの内容となっています。ぜひご覧ください!

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時計修理技術者コラムVol.39 時計用電池

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クォーツ時計の電池~酸化銀電池とは~

電池の種類は様々ありますが、クォーツの時計に使用されている電池はボタン電池と呼ばれる小型の酸化銀電池を主に使用しています。
酸化銀電池はマイナス極に亜鉛、プラス極に酸化銀を使用している電池です。電圧が非常に安定していて、使い終える直前まで、新品の状態と同等の電圧を維持できる特長があります。そのため、クォーツ時計などのデリケートな電子機器に多く採用されています。

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大きさや薄さも様々あり、時計のサイズや機能によって、各々のキャリバーに合わせた電池を使用します。
電池の持続期間は、時計の機能や、(機能の)使用頻度にもよりますが、1年半~2年程度になります。

 

ボタン電池も乾電池などと同様、使い終えた後も長期間そのままにしておくと、液漏れします。
電池は使用されると化学反応が起こりガスが発生します。その際に電池が破裂しないように安全にガスを排出する仕組みになっていますが、電池内部でガス化した電解液や液状のままの電解液が一緒に放出されることで液漏れが起こります。
止まってしまった時計は早めに電池交換をするか、長期間使用しない場合は電池を抜いて保管しておくことをお勧めいたします。

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液漏れした電池です。

 

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電池液漏れの影響で腐食が広がったムーブメントです。

 

電池交換はお早めに

電池の液漏れが発生して、ムーブメントにも腐食が広がってしまうと、オーバーホールだけでは対処ができず、ムーブメント(機械一式)の交換が必要になり、修理費用も大きくなってしまいます。電池交換の合図(4秒運針など)が出たら、早めに電池を交換しましょう。
電池式の時計の中でも充電機能が付いた時計には、二次電池(充電用の電池)が搭載されているため、基本的に電池交換の必要はありません。

 

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時計修理技術者コラムVol.38 巻き上げの不具合~ロレックスCal.3000系編~

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手巻きの不具合

お時計を長期間使用していると、手でゼンマイを巻き上げる際、本来よりも手巻きが重くなってしまうことがあります。その原因としては、自動巻き機構の不具合が原因であることが多いですが、一番受け(一受)の摩耗が原因の場合もあります。 一番受けの摩耗が原因で手巻きが重くなってしまう症状は以前時計修理技術者コラムVol.15 一番受けの摩耗が引き起こす不具合~Cal.ETA2892編~にて紹介しましたが、今回はロレックスのCal.3000系のムーブメントを例にご紹介します。

一番受け(一受)の摩耗

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ロレックスCal.3000系ムーブメントの一番受けには、ゼンマイを巻き上げる歯車として、丸穴車、スライディングギア、スライディング中間車、角穴車の4つの歯車が取り付けられています。 油切れが原因で手巻きが重くなった場合、オーバーホールを行うことで、症状が改善します。 油切れの状態で、使用が長期間に渡ると、一番受けのスライディング中間車が収まるダボ(軸)が徐々に削れてしまい、さらに手巻きの違和感(ごりごりとした感触)が大きくなります。

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【通常の一番受けと、摩耗した一番受け】

写真のような状態になってしまった場合、部品の修正では動作は改善されません。 一番受け自体を交換しないと、手巻きの違和感が解消されることはありません。

手巻きに違和感を感じたら……

 

手巻きに違和感を感じたら今回紹介した一番受けに摩耗が生じている可能性があります。ロレックスは自社ムーブメントを搭載しているため、一番受けもロレックス専用のものになりますが、一般に流通している部品ではないため、入手が非常に困難(入手できても非常に高額)なため、不具合が発生する前にメンテナンスを受けられることをお勧めいたします!

 

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時計修理技術者コラムVol.37 ロレックスの新品仕上げ~エクスプローラー/114270ベゼル・裏蓋編~

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ロレックスの仕上げ

ロレックスの人気スポーツモデルと言えば、シンプルで堅牢なデザインが特徴的なエクスプローラーですが、今回はエクスプローラー(Ref:114270)のベゼルと裏蓋の仕上げについて紹介いたします。

 

 

ロレックス/エクスプローラー/114270

搭載ムーブメントCal3130:極限状況に挑む探険家たちが精度と耐久性に絶大な信頼を寄せてきた、ロレックスのスポーツモデルの中でも最も知名度が高いモデル。リファレンスNo.114270は2001年4月バーゼルフェアでデビューした時計で、2010年に後継となる214270が発表されましたが、現行の214270よりもシャープなケースの形状などから生産が完了した後も根強いファンが多い。

 

エクスプローラーのベゼルはスムースベゼルと呼ばれるポリッシュ(鏡面)タイプの仕上げになっています。裏蓋と同じく、一見シンプルで仕上げも簡単そうですが、面の形状を崩さず傷を取るには熟練の技術に加え、特殊な工具を必要とします。

 

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新品仕上げ前のベゼル、裏蓋です。鏡面部分に傷や打痕があり、バフ(柔らかい素材で磨く方法)だけで傷を消そうとすると鏡面部分がぼこぼこになってしまう恐れがあります。

 

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 特殊な工具を使い、傷を取ることができました。ベゼルの鏡面部分とトップの細い平面のバランスが崩れないように、形状を整えながら行います。

 

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 この後、鏡面磨きとヘアライン仕上げ(ベゼル上部、鏡面部分下)を行い※写真参照、本来のメリハリのあるベゼルと裏蓋に仕上げることができました。 

磨き前と磨き後では、時計が見違えるように甦ります!定期メンテナンスの際は是非新品仕上げも一緒に受けていただくことをお勧めいたします!

 
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時計修理技術者コラムVol.36 自動巻き不良の原因と対応~Cal.ETA7750編~

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自動巻き時計の不具合

自動巻きの時計で起こる不具合の中でも特に多い修理内容は『自動巻き部分の不良』です。今回はオメガやブライトリングなどのクロノグラフモデルに最も多く使用されているCal.ETA7750を例に取って紹介していきます。

 

自動巻き不良の原因

自動巻き関連の不具合は以下の通りです。
1. リバーシング(切替車)のほぞが摩耗、もしくは劣化による動作不良
2. リバーシングストップバネの形状不良によるもの
3. 角穴駆動車など、自動巻き輪列関連の車の不良 

 

1.リバーシング不良

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※写真はCal.ETA2892のリバーシング
リバーシングのホゾ(中心軸)摩耗、もしくはリバーシング自体の動作不良によって、削れによる金属粉やさびが発生します。また、手巻きをした際にローターが一緒に回転してしまう症状(連れ回り)が起こります。

 

2.リバーシングストップレバー不良

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手巻きや自動巻きによって巻上が行われた際に、ゼンマイがほどけていかないように、自動巻きローターを止めている部品がリバーシングストップレバーです。長期間の使用によってレバーの先端が削れてしまうと、ローターの動作を抑制することができず、回転してしまいます。

 

3.自動巻き輪列不良

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角穴車など、自動巻き上げ関連の輪列が摩耗してしまうと、歯車同士の噛み合いが悪くなり、手巻きの重さが異常に重くなります。また、金属粉やさびの発生が起こります。

 

定期メンテナンスは定期的に!

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歯車の摩耗により、金属粉が発生すると、固着した金属粉がさびになったり、金属粉がいろいろな箇所に入り込むことで、他の部品の摩耗を進めてしまう恐れがあります。そのため、当店では3年~5年に一度の定期メンテナンスをお勧めしております。ぜひ無料の見積りをご利用ください!

 
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時計修理技術者コラムVol.35 クォーツ時計の精度

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時計の精度

時計の精度は、クォーツ>機械式というように、クォーツの方が精度が高いというのが一般的ですが、クォーツの精度はどのようにして出しているのでしょうか?今回はクォーツ時計の精度について紹介していきます。

振動数

時計の精度は振動数によって決定されます。
振動数とは時間単位で往復できる回数を表していて、単位はヘルツ(Hz)であらわされます。
一般的な機械式時計では 5~10振動を採用しています。
対してクォーツ時計はクォーツ(水晶)が、一定の電圧を加えると毎秒32,768振動するため、その振動を増幅・調整して一秒周期の規則的な電流に変換して歯車を回す仕組みになっています。 この振動数がクォーツ時計の精度を構成しています。精度が高いと思われがちなクォーツですが、0.5秒/日程度(月間で15~20秒程度)の誤差は生じます。機械式時計(3~10秒/日、月間で1分~5分程度)に比べると高い精度といえます。
※正確な基準を決めている原子時計は約90億Hz(9,192,631,770Hz)で、10万年に1秒の誤差

 

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クォーツの電子回路です。銀色の筒の中に水晶振動子が入っています。

 

電子回路

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 前出のクォーツ時計の精度は新品の段階のもので、電子回路は電化製品にあたるため、経年劣化が生じます。使用しているうちに誤差も大きくなるため、10年~15年を目安に電子回路の交換をしていただくことをお勧めしています。

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また磁気帯や、電池の液漏れによって電子回路が劣化したり、破損したりする恐れがありますので、電池交換の際に電子回路の点検をしていただくことをお勧めしております。当店では電池交換の際に、内部点検を無料で行っておりますので是非ご利用ください。

 
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