WATCH COMPANY公式ブログ~時計修理技術者コラム~

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時計修理技術者コラムVol.20 自動巻きのローターベアリングについて~Cal.ETA7750編~

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自動巻き不良の原因

自動巻きの時計は半月状のローターが回転してゼンマイを巻き上げています。以前、ロレックスのローター真を例に「時計を着けていても止まってしまう。」、「夜外して朝には止まっている」などの症状の原因についてご紹介させていただきましたが(時計修理技術者コラムVol.5 自動巻の巻き上げ効率~ローター真編~)、今回は、オメガやブライトリングなどの多くの高級スイス時計に採用されているムーブメントETA7750を例に取って自動巻ローターの部品について紹介いたします。

ローターベアリングの役割と不具合

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自動巻き時計は、着用時にローターが回転することでゼンマイを巻き上げることができます。ローターをスムーズに回転させるために、現行品で多くのムーブメントで使用されているのがローターベアリングです。

長期間使用された時計のローターベアリングは摩耗や経年劣化により当初取り付けられた状態よりもがたつきが大きくなります。がたつきが大きくなることで、ローターの回転音が大きくなったり、裏蓋やムーブメントにローターが擦れることで、内部に金属粉を発生させるなどの不具合が起こります。
特に金属粉の発生は歯車のほぞ(軸の先端)を傷めるなど、ムーブメント全体に悪影響を与えてしまいます。

ローターベアリングの修正

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ローターのがたつきが大きくなった場合、ローターベアリングが使用できる状態であれば、専用工具でがたつきを修正して調整を行います。

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ローターのがたつきが大きすぎて修正ができないもの、さびが発生して継続して使用ができないものに関しては、ローターベアリングを取り換えて対応します。

 

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一部、ETA7750系が搭載されている時計でも、メーカーが独自に改良したローターベアリングを使用しているモデルは、交換対応ができない場合があります。

 

ローターの音が気になり始めたら……

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お時計を使用されていて、自動巻ローターの巻き上げ音が大きくなったり、カチカチと内部異音がするようになったら、ご使用を中止して内部点検を受けられることをお勧めいたします。

 
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