WATCH COMPANY公式ブログ~時計修理技術者コラム~

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時計修理技術者コラムVol.30 リューズの操作不良、カレンダー不良について~ロレックスCal.2135編~

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ロレックス/レディース時計のムーブメント その2

ロレックスのレディース時計に使用されているムーブメントに関して、前回、時計修理技術者コラムVol.26 リューズの操作不良~ロレックスCal.2235編~にて、Cal.2235について紹介しましたが、今回はCal.2235より以前に搭載されていたCal.2135について紹介いたします。

Cal.2135について

Cal.2135はレディースのデイトジャスト69174、69173系統のモデルに搭載されているムーブメントです。1980年代初めから、1998年ごろまで製造されました。

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Cal.2135カレンダー早送り車初期(前者)、後期(後者)
Cal.2135は製造された初期と後期では、カレンダーを操作する内部部品が変更されています。 初期型の場合は、日付を早送りするときに順方向と逆方向、両回転することができました。 後期型の場合は順方向のみ進ませることが可能です。

 

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Cal.2135カレンダー送り車初期(前者)、後期(後者)
カレンダー送り車も改良されて、誤操作による部品の破損が少なくなりました。

Cal.2135によく起こる不具合

Cal.2135によく起こる不具合は、

 

1.リューズ操作がしづらい、またはできない

2.日付がダイヤルの窓枠内で半目になる

 

この2つの不具合の原因は、部品の破損や摩耗によるものです。

 
1.リューズ操作がしづらい、またはできない

リューズ操作に関しては、ゼンマイの巻き上げや、時刻合わせをするときに使われるツヅミ車の歯先が削れてしまったことが原因です。

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新品のツヅミ車です。

 

f:id:watchfan1999:20170704164955j:plain歯先が削れてしまったツヅミ車です。

 

2.日付がダイヤルの窓枠内で半目になる

日付が半目になってしまう原因はカレンダーを送るカレンダー車の歯がかけてしまったことによるものが多いです。

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カレンダー車の歯先です。

 

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カレンダー車の歯先がかけてしまっています。

 

時計のトラブルに遭わないために

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上記のような部品状態になってしまった際は、部品の交換とオーバーホールで症状は改善することができます。しかし、ロレックスの部品は他ブランドに比べ、高額になります。また、破損した部品の破片が機械内部に混入することで他の部品にも悪影響を与えてしまうことがあります。 それを避けるために大切なことは

 

「カレンダー早送り禁止時間帯」にカレンダー操作を行わないことが最も大切です。

 

カレンダー早送り禁止時間帯はカレンダーが切り替わる前後3時間ほどを指しています。この時間帯は、カレンダーを送るために関連部品の歯車同士が噛み合っている状態になるため、その状態で無理にカレンダーの早送りを行ってしまうと該当部品が破損してしまいます。 そのため、当店ではカレンダーを早送りする場合は時計上の時間をまず6時に合わせてからカレンダーの早送りすることを推奨させていただいております。

 

万が一リューズの操作に不具合を感じたら、ぜひ無料のお見積もり相談をご依頼ください!

 
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